シャープが5Gに対応したスマートフォン「AQUOS R5G」と、「5Gモバイルルーター」を今春に発売する。いずれも国内向けでは初の5G製品となる。シャープはどのような戦略で5G製品を投入するのか。2月17日の説明会で、執行役員 通信事業本部 本部長の中野吉朗氏と、通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏が説明した。
超広角の8Kカメラ搭載も、スマホでどう活用する?
同社が5Gスマートフォンでキーワードに掲げるのが「8K」だ。より高速、大容量の通信が可能になる5Gでは、「8Kの映像を誰もがもっと簡単に作れるようにしたい」と中野氏は言う。8K映像が手軽に作成、編集できるようになれば、新たなエンタメサービスが生まれ、8Kと5Gを組み合わせたエコシステムの拡大につながる――とシャープは期待を寄せる
そうした考えの象徴となる第1弾モデルがAQUOS R5Gだ。AQUOS R5Gは、スマートフォンAQUOSとして、初の8Kワイドカメラを搭載している。アウトカメラは広角カメラ、超広角カメラ、望遠カメラ、深度測定用のToFカメラという4眼だが、このうちの超広角カメラが有効約4800万画素で8K(4320×7680ピクセル)のワイド撮影に対応している。4800万画素のカメラを搭載した機種は他にも存在するが、たいていが広角(標準)カメラに採用しており、超広角カメラにここまで高画素のレンズを搭載している機種は珍しい。
しかもAQUOS R5Gでは、この超広角カメラを使って8Kの動画撮影もできる。これはまさに5Gスマホならではの機能といえる。5Gでより高速な通信が可能になれば、8K動画のような大容量のデータもモバイル回線経由で簡単に共有できるようになる。シャープの説明では、上りの速度を約360Mbpsで計算すると、1分間の8Kワイド動画は6秒で、4800万画素の写真は0.2秒で送信できる。「5Gによってビジュアルコミュニケーションが一気に変わってくる」と小林氏は期待を寄せる。
8K動画は、シャープ製品をはじめとする8Kテレビに出力して楽しむこともできる。小林氏は「スマートフォンのレベルを超越した8K動画を、8Kテレビでご覧いただきたい」と話す。
ただ、8Kテレビを持っている人は限られる。またAQUOS R5Gのディスプレイは6.5型で、解像度はQHD(1440×3168ピクセル)なので、8K動画をAQUOS R5Gで視聴しても、そのインパクトは伝わらない感もある。シャープもこの点は理解しており、「8K対応のテレビやPCを持っていなくても、全てのお客さまに楽しんでいただける新機能」(小林氏)として用意したのが「8Kフォーカス再生」だ。
8Kで撮影した動画を再生する際、被写体として写っている人間や動物などを自動で判別して、ズームアップしてくれる。これは「人間の視覚や認知と同じことを実現している」(小林氏)という。「人間は関心のある範囲を、無意識にアップとワイドを繰り返している。関心が切り替わるように、被写体を切り替えて再生する」と同氏は説明する。
8K動画の解像度はフルハイビジョン16枚分、ハイビジョンなら36枚分なので、「被写体を拡大しても、十分な解像感が残る」と小林氏。
撮影した動画の中から、最適なシーンを抽出して15秒のダイジェスト動画を作成する「AIライブストーリー」は「AIライブストーリーPro」に進化。8K動画からは作成できないが、複数のフレームに分けたり、ズームを活用したりできるようになった。広角カメラ、超広角カメラ、望遠カメラのいずれもAIライブストーリーProに対応している。AQUOS R3のAIライブストーリーは、超広角の動画専用カメラ向けだったが、AQUOS R5Gでは広角と望遠カメラでも同機能が使えることで、動画を楽しむ幅がより広がったといえる。
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