誰よりピッチの上でマルチな存在感を放っている。
新型コロナウイルスの脅威が静かに迫りつつあった3月9日、ブンデスリーガ2部第25節。今となっては夢幻のような、メルセデスベンツ・アレナが5万を超える観衆で膨れ上がっていた頃――。
シーズン前半戦はベンチで見た首位のチームとの攻防戦を、半年後はレギュラーとして戦い抜いた遠藤航は、次のように振り返った。
「もちろん監督が変わったりした中で、適応しないといけないことはありましたけど、やっぱりこういうホームの素晴らしい雰囲気の中でプレーできることは、素晴らしいことだと思います。ホームの試合は、毎試合毎試合モチベーションが上がりますね」
対ビーレフェルト戦で、遠藤は先発フル出場する。敵のセンターFWファビアン・クロスとトップ下のマルセル・ハルテルのマークを交互に受けながら、遠藤はアンカー気味にプレー。ボールを引き出して、正確に繋ぎながら、VfBシュツットガルトの攻撃を中盤の底から支えた。
途中からは「お互い感覚は似ている」という“相棒”のオレル・マンガラとツー・ボランチ気味にシフト。遠藤にハルテルが食いつけば、フリーになったマンガラがビルドアップのパスを受ける、といった具合だ。
こうして試合中の“修正力”を見せた日本代表MFは、守備面でも奮闘。ボールを失ってカウンターを食らう場面もあったが、セカンド・ボールを拾い、1対1の局面でも強さを発揮した。
地元ファンからも声援も熱く。
'19年の8月にシント・トロイデンから1年間の期限付きで加入して、およそ7カ月。今では完全に中盤の“顔”として定着している。
メルセデスベンツ・アレナの記者席のすぐ後ろは観客席なのだが、日本人MFがボールを捌くと「エンドウ!」といった掛け声や、「エレガント」といった賞賛の声まで聞こえた。
遠藤は、過去にブンデスリーガ優勝経験もある名門のファンの心も掴みつつあるようだ。
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March 29, 2020 at 05:19PM
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