90年代に大ヒットした今作は2014年より新作アニメシリーズ「美少女戦士セーラームーンCrystal」として制作がスタート。オリジナル要素が数多く盛り込まれた90年代シリーズと比べ、武内直子氏による原作コミックのロマンチックで詩的な世界観を色濃く反映している。前編・後編で公開される劇場版「美少女戦士セーラームーンEternal」は原作の第4期となる「デッド・ムーン編」をもとにしたストーリーだ。
三石にとって90年代のアニメシリーズは記念すべき初主演作品だった。「『セーラームーン』は、私の声優人生にとって、とても大きく、とても大事な作品、大事な役です。前シリーズでは初主演をさせていただいたことはもちろん、こんなにも多くの人に愛されて、演じた期間はそこまで長くはないけど、特別なパワーを持った作品だと今、特に感じています。『セーラームーン』があったからこそ、引き寄せてくれた役がある。本当に大きな存在として感謝しています」。
「90年代のアニメシリーズが終わり、新しいセーラームーンの役をお引き受けした時は原作準拠というお話だったので一度、90年代でみんなで作った“お城”は更地にして、新たな仲間たち、スタッフと一緒にゼロから作り上げていこう、と決意しました。そこから少しずつ出来上がっていったのが新しい『セーラームーン』シリーズ。同じ作品名ではありますが、別作品の別次元の話だと思っています」と前作にも今作にも強い思い入れがある。
ただ、年月を重ねても主人公のうさぎという人物への印象に変化はないという。「私も時間を重ねているので、10代であるうさぎちゃんをキープしていこうと覚悟はしていますが、ドキドキです。うさぎちゃんはドジで泣き虫でおっちょこちょい、お勉強ができない。でも困っている人や悲しんでいる人への共感力があって、その人のためにはものすごいパワーを発揮できる人。そんなうさぎちゃんの根本は常に変えないようにしています」とキャラクター性を誰よりも理解しながら寄り添っている。
改めて作品の魅力については「女の子がだいすきな夢や、変身、敵と闘うこと、宝石や惑星…まるで宝石箱の3段重ねみたいにキラキラが凝縮されているところではないでしょうか。女の子は女の子らしくという枠から飛び出している。うさぎちゃんは主人公でありながら戦士として自覚がない。痛いことは嫌、怖いことは嫌、と泣いて逃げちゃうところも観ている子にとっては目が離せない存在だったのかもしれません。お勉強もできない、運動もちょっと音痴。普通よりダメな子が変身して憧れの立場になるところも最高ですよね」。
ダメダメだけど、変身すれば強くてかっこいい、当時の少女たちみんなが憧れたセーラームーン。誕生から間もなく約30年を迎える。三石にはセーラームーンがもたらした出会いもあった。視聴者だったスタッフやキャストも多く、そして取材記者もまた三石を前にするとみな、自分とセーラームーンとの思い出を語り始めてしまうのだという――。
“セーラームーン育ち”の人々との出会いは「もちろんうれしいし、当時ちびっこだった方々が立派に働いてお仕事しているというのはしみじみと感動しますよね。でも私がなにかをしたとかではないんです。自分の人生を迷いながらもここまできたんだな、と思うと素晴らしいと思います」と感慨。「当時、90年代のアニメを観ていた方から、『大きくなったらセーラームーンになる』というお手紙を山ほど、いただきました。今、みなさんは“セーラー戦士”として戦っている最中なんだと思います」。
■出番の多さにこだわりなし「どんな作品と出会うかが大事」
今回の「デッド・ムーン」編では、主人公のうさぎたちは高校に進学し、未来のうさぎの娘・ちびうさも未来に帰還する準備を進めるなど、夢に向かって新たな生活を送ろうとしていた。そんな中、日本で今世紀最大の皆既日食が起きて助けを求めるペガサスと「デッド・ムーンサーカス」を名乗る謎のサーカス団が現れる。ちびうさとペガサスの淡い恋、そして、うさぎの仲間である、水野亜美や火野レイ、木野まこと、愛野美奈子らが戦士としての使命と自らの夢の間で葛藤し、成長する姿が生き生きと描かれている。
25年ぶりとなる映画化には「スクリーンでセーラー戦士たちが動き回る姿はとても観たい気持ちでいっぱいだった」としつつも「4期の原作がボリュームもありまして、そのストーリーを決められた尺に収め、クライマックスをどう締めくくるのか想像ができなかったので、若干の心配はありました(笑)。攻めてきた敵と、ただ闘うとなってしまうだけでなく、学校の行き帰りの女の子たちの日常的な、何気ない会話に個性が出る。そこがセーラームーンのいいところなので、カットしてほしくないなと思っていたんです」。
そんななかでも、コミカルな場面も要所要所で入れ込まれ、うさぎたちが“デッド・ムーンサーカス”を偵察しに、遊園地にやってくるシーンでは、ちょっと生意気なちびうさと、うさぎの小競り合いが三石のお気に入りだそう。「笑いのシーンは、大事にしています。ガラッと作品の空気が変わる大事なシーン。緩急をつけるためにも、弾けるように演じています」。高校生の母と未来からやってきた娘のまだまだ等身大のやりとりはとてもかわいらしいものに仕上がっている。
久々のアフレコ収録では「第1期を収録した当初は、他のキャストの方々も90年代のアニメにリスペクトはあるけど、緊張している部分はあったんですよね。でももう4期ということで、それぞれ役のなかに落とし込んでいるので、のびのびと演じているようでした。やっぱりみなさんキャリアのあるプロなので、作品になれば、ぐっとその立ち位置に入れるようになっています」と優しいまなざしで見守る。
今作には、物語のキーとなるペガサス(エリオス)役の松岡禎丞に加え、セーラー戦士たちの前に立ちはだかり惑わせる敵の“アマゾン・トリオ”を日野聡、豊永利行、蒼井翔太、彼らを操る“アマゾネス・カルテット”を上田麗奈、諸星すみれ、原優子、高橋李依、強敵・ジルコニアを渡辺直美、美しく妖艶な新月の女王・ネヘレニアを菜々緒が演じ、魅力的な悪役キャラクターに息を吹き込む。
悪役キャラクターを演じるキャストとの収録は別々となったが「コスチュームもキャラクター性もみんな素敵。“カルテット”の4人のピチピチとした活きが良いかわいさ。トリオさんも、それぞれ、ツボを心得ていらっしゃるので演者さんも楽しそうでしたし、もう少し3人の絡みが観たかったです。前編の劇中で豊永さん演じるホークス・アイがジュピターに倒される時のせりふは原作にないオリジナルなのですが、それがとても心に刺さって印象に残りました」と讃えた。
今作の題材ついて「夢というものは自分の心次第で良いものにも悪いものにも変わってしまう。それでも夢があることによって生きる力やエネルギーが生まれる、というのは、素敵」と捉える三石。今の夢について聞いてみると「今はまだ夢の途中です。演者からすると作品に対して大きい・小さいという感覚はなく、どんな作品と出会うかが大事だと思っています。出番が少なくても、重い役、エネルギーを使う役もあったりします。ただ悲しいかな、受け身、仕事が来ないことにはなにもできないので(笑)、どんな役でも、これからの出会いを楽しみにしています」とまだ見ぬ新たな作品との出会いに期待をふくらませている。
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