
「83歳の会長の冗談じゃないか」 2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)の臨時評議員会で、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長による「女性がたくさん入っている会議は時間がかかります」という発言を取材した。 【画像】JOCの理事会の様子。JOCの理事は現在、25人中女性は5人だ その後、複数のスポーツ関係者から直接、冒頭の言葉を言われた。1人ではない。一連の発言により森会長の辞任意向が報じられている今も、そう考えている人はいると思う。 一方で、あるスポンサー企業で働く30代の知り合いは言った。 「『一般企業なら』、アウトだよね」 JOCの臨時評議員会で問題に感じたのは、社会や企業の感覚とかけ離れた「冗談」が公の場の挨拶で通用してしまう空気感だった。 その背景にあるのは、何なのかーー。スポーツ界や競技団体の取材をしてきて感じるのは、意思決定に女性や若い世代が関わりづらい構造だ。 【照屋健/朝日新聞スポーツ部記者】
発言が出たのは、森氏が話し始めて27分が経ったころだった
まず、あの日の会議の位置づけから考えたい。 3日の臨時評議員会はまさに「女性理事を40%以上にする」などガバナンス強化の方針を確認しあう場だった。JOCの理事は現在、25人中女性は5人で20%だ。 しかし、最後に挨拶をした森会長の言葉は、スポーツ界が進もうとする方向とは真逆だった。会場内の別室からオンラインの画面越しで聞いていた私は、驚いた。 森会長が女性理事に関する私見を述べ始めたのは、森氏が話し始めてから27分が経ったころ。なお、森会長の話は40分に及んだ。 「女性がたくさん入っている理事会は、会議の時間がかかります」。ラグビー協会の例を持ち出し、女性理事について私見を2分ほど話した。「あんまりいうと、新聞に書かれるな」。冗談めかした口調に、会場からは笑い声もあがった。 「これはダメだよな」。一緒に聞いていた先輩の男性記者も言った。同感だった。 一つの失言だけでなく、森氏の発言や認識は、これまで取材してきたスポーツ界の体質を表している、と思ったからだ。
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