コロナ禍で普及したテレワークを通じて、多様な働き方の可能性が見えてきた。特に、リゾート地を楽しみながら仕事をする「ワーケーション」という造語が広まり、環境省が推進するまでになった。
ワーケーションという働き方をすでに取り入れている企業ではどのような変化が見られたのだろうか。
「企業のリーダーたちは、まずだまされたと思ってワーケーションをしてみてほしい」──そう話すのは、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス(以下、ユニリーバ)の島田由香氏(取締役、人事総務本部長)だ。4月27日に開催したオンラインシンポジウム「テレワーク・オールウェイズ2021」内「地方創生・ワーケーション」での同社の講演を紹介する。
生産性が「自動的に上がる」、その秘訣は?
島田氏は、「『幸せに働こう』というのがキーワード」だと語る。そして幸せに重要なのは「自分で決めること」であり、「働く場所、働く時間を自分で選ぶことで、幸福度が増す」という。
ユニリーバでは、そのような柔軟な働き方を実現する制度「WAA」(ワー、Work from Anywhere and Anytime)を2016年7月に導入した。
島田氏は、「幸せと働くことを結び付けられない人が多い」が、企業が成果を上げていくうえで、従業員の幸せは重要な要素だと説明する。
「カリフォルニア大学のデータでは、幸せであれば生産性は30%、営業成績は37%、創造性は300%もアップするといわれています。当社でも、4人中3人の従業員が、WAAを導入してから生産性が上がったと答えています。生産性は『上げるもの』ではなく、幸せであれば『自動的に上がる』のです。そう考えると、幸せに働くことがどれほど重要なのかを分かっていただけると思います」
ダメージを回復する「ワーケーション」
WAA導入から2年後の18年からユニリーバでは、さらに働く場所の選択肢を増やす「地域 de WAA」をスタートした。
これは、地方自治体と連携して行うワーケーションで、ユニリーバの社員が持つ知見を、地域の抱える課題解決へ提供することで、提携宿泊施設の宿泊費を無料(または割引)にしてもらう制度だ。市役所の一区画や、その他指定された施設を無料でコワーキングスペースとして利用して仕事ができる。
島田氏は、労働において「ストレスが悪いのではなく、それによるダメージを回復できないのが問題」だと話す。
「ワーケーションで大切なのは、きちんとWorkし、きちんとVacationをとることです。きちんと仕事するためには、電源もWi-Fiも、仕事のできる環境が整っている必要があるし、きちんとVacationをとるためには、Vacant、つまりいったん頭の中を空っぽにできる環境が整っている必要があります。空にしたあとで、目の前の景色などをインプットする。これが、アウトプットを変えて、成功へと導くものとなります」
「政府が推奨しているような、国定公園や国立公園で、仕事の合間にきれいな景色を眺める、温泉地で疲労回復する。それによってウェルビーイングが上がっていくのです」
中長期的に幸せな状態にあることを指す“ウェルビーイング”という言葉を、島田氏は分かりやすく「『うん、いい調子だな』と思える状態」と言い換える。そして、「人と比べていい調子なのではなく、主観的にいいと思えるかどうかが重要。ウェルビーイングを作り出すのは本人の問題だが、それをサポートしていくのは企業の責務だ」と述べた。
そのため、人事部として制度を考えたり改定したりするときには常に「幸せの3つのレバー」である「成長、自立・自律、つながり」を提供できるかどうかを考えているという。
「企業のリーダーたちには、まずだまされたと思ってワーケーションをしてみてほしいです。会社との、地域との、そして自分とのつながりが見つかるきっかけになるし、自分で働く場所を選ぶことがどれほど幸せで、生産性を上げるものになるかを体験してもらえることでしょう」(島田氏)
実現なるか? テレワークタウン1000
同講演内では、内閣官房の松田昇剛氏(まち・ひと・しごと創生本部事務局、内閣参事官)も登壇し、テレワークにまつわる取り組みの近況を紹介した。
内閣官房では、地方創生テレワーク交付金の応募を受け付けており、すでに第1回分として138団体へ40億円の交付が決定していることを説明。
さらに“テレワークタウン1000”構想として、サテライトオフィス、シェアオフィスまたはコワーキングスペースなどテレワークを行う環境を整えた施設の誘致に関与する自治体を1000市町村に拡大する施策もあることから、地方への移住に加え、ワーケーションを行う人口増加も見込めるという。
テレワークタウンが増えれば、ワーケーションの自由度も増す。いつ、どこでもテレワークのできる世の中の実現は間近に迫っているのかもしれない。
関連記事
からの記事と詳細 ( 「ワーケーションで生産性が上がる」のはなぜ? ユニリーバの成功例 - ITmedia )
https://ift.tt/34a8E6G





No comments:
Post a Comment