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Sunday, October 15, 2023

品質神話が崩壊したドコモ、対策から浮かび上がる3つの盲点 - 日経ビジネスオンライン

layaknaik.blogspot.com

NTTドコモが2023年初頭から続く通信品質の低下に対して抜本的な対策に乗り出す。300億円を投じ、全国約2000カ所のエリアと全国約50の鉄道沿線について集中的に品質改善を進める。ドコモが品質低下に陥ったのは、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う都市部への人流の戻りを読み誤ったことが主な原因だ。だがこれは競合他社も同じ条件。同社が明らかにした新たな対策内容からは、これまでのネットワーク運用においてドコモに足りていなかった要因も浮かび上がる。

長年、高い通信品質を売りにしてきたNTTドコモ。だが、23年初頭以降、その品質低下が利用者の間で大きな問題となっている(写真=西村尚己/アフロ)

長年、高い通信品質を売りにしてきたNTTドコモ。だが、23年初頭以降、その品質低下が利用者の間で大きな問題となっている(写真=西村尚己/アフロ)

 「今回の改善を確実にやり切る。安心して利用できるネットワークを提供することを約束したい」

 10日、NTTドコモでネットワーク本部長を務める小林宏常務執行役員は、記者説明会でこう決意を述べた。

 ドコモは、品質低下のおそれがある地域を含む全国約2000カ所、約50の鉄道沿線の品質改善に向けて300億円を投じる。将来的な需要拡大も見据え、先行して余裕を持ったネットワークを構築する。

 ドコモ回線がつながりにくいという声がSNS(交流サイト)を中心に目立ち始めたのは23年初頭のこと。4月には渋谷や新宿など東京都心部の品質低下について夏までに対策を進めることを表明し、7月末には渋谷、新宿を含む都内4エリアにおいて通信品質が改善したと報告していた。

 ただその後も周辺地域では「電波の入りが悪い」「つながりにくい」という声が出ていた。今回の対策によりドコモは、品質低下の問題について終止符を打つ覚悟だ。

 もっとも同社が明らかにした対策には、KDDIやソフトバンクなど競合他社がこれまでも実施してきたような取り組みも目立つ。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う人流の戻りによる通信量の増大は、ドコモだけでなく他社にも共通する課題だ。なぜドコモの通信品質だけが著しく低下したのか。そこにはドコモにとって盲点となっていた3つの要因が浮かび上がる。

品質低下エリアを特定するデータが不足

 1つ目の要因として考えられるのが、品質改善が必要な場所を迅速に特定できていかなかった可能性だ。

 ドコモは今回新たに、大規模言語モデル(LLM)を使って品質改善が必要な場所を洗い出す取り組みを始めたことを明らかにした。具体的には、SNSなどに書き込まれる通信品質への不満情報をLLMに学習させ、駅や路線、集客施設など優先的に対策が必要な場所を抽出するシステムだ。「具体的に対策が必要な場所を迅速に抽出できるようになった。この仕組みによって、対策が必要な全国約2000カ所、鉄道沿線のターゲットを絞り込んだ」と小林本部長は強調する。

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