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Wednesday, April 29, 2020

プラスチックリサイクルの価値が上がる──気候変動にブロックチェーンは有効か - コインデスク・ジャパン

1967年の映画『卒業』に出てきたアドバイスと同様に、ブロックチェーン時代においてプラスチックは、チャンスにあふれた分野として再び注目を集めている。だが今回は、プラスチックリサイクルだ。

ブロックチェーンは、あらゆるサプライチェーンを超えて原材料を追跡し、透明性のある変更不可能な監査証跡を作ることに、きわめて有用であることが証明されつつある。

一方、各国政府は、小売業者やプラスチック製造業者に対して、最低レベルのリサイクル要件を満たしていることを示すことを義務づける法律を作っている。そしてこの要件は、今後さらに厳しくなる可能性が高い。

いくつかのブロックチェーンスタートアップは、ここにチャンスを見出している。現行のサプライチェーンを再発明するために、大手石油精製企業と新しいタイプのプラスチックリサイクルを結びつけることによって。ブロックチェーンの魅力は次の点だ。すなわち、行動を測定し、それを一般に公開する。

ケミカルリサイクル

現在、ボトルなどに使用される硬質プラスチックだけが、機械的に低グレードのプラスチックにリサイクルされており、このプロセスは最大でも2回しか繰り返すことはできない。

しかし、より高度な産業技術の組み合わせによって、今後数年のうちにプラスチックリサイクルはより洗練されたものになる見込みで、化学的に変化させた原材料を製造プロセスに戻すことができるようになる。

これはつまり、プラスチックを石油に戻し、そこから再び、あらゆる種類の新しい製品に精製し直し、地球への害悪となってしまった廃棄物に完全に循環型の経済を生み出すことを意味する(毎年、1200万トンの廃プラスチックが海に流れ込んでいる)。

化学的にリサイクル(ケミカルリサイクル)されたプラスチックが、グローバルサプライチェーンに入っていくという見通しは、大手石油精製企業にとっての次のステップ、と企業の二酸化炭素排出量を測定・減少させる支援を行うためにエンタープライズブロックチェーンを使うフィンブート(Finboot)のジュアン・ミゲル・ペレス(Juan Miguel Perez)CEOは語った。

フィンブートは、2050年までに二酸化炭素排出量ゼロの達成を約束しているスペインのエネルギー大手レプソル(Repsol)と協働している(レプソルは2019年7月、フィンブートの株式を8%取得した)。

プラスチックボトルに使われるポリプロピレンを製造しているレプソルは現在、プラスチックリサイクルにおいて先導的な役割を果たそうとしており、この取り組みがいかに明確に下流のサプライチェーンを変革できるかを示している。

「難しい目標だが、最終的には廃棄物収集企業が集めた廃プラスチックを、原材料としてサプライチェーンに加えることができるようになる」とミゲル・ペレス氏は述べた。

「資産を追跡し、サプライチェーンをつなぐプロセスの次のステップだ」

レプソルは、現時点で同社のケミカルリサイクルについてコメントしていない。

ゴミの山を採掘

イギリスのスタートアップ企業サーキュラー(Circulor)もまた、コバルトのような紛争鉱物(内戦などの資金源となる鉱物)の取り組みのほかに、サプライチェーン全体でリサイクルプラスチックを追跡することを検討している。

「プラスチック廃棄物について非常にワクワクしている」とサーキュラーのダグ・ジョンソン-ポエンスゲン(Doug Johnson-Poensgen)CEOは述べた。

「ヨーロッパの多くの国で、各国政府は最低30%のリサイクルプラスチックを含まないプラスチックを販売する小売業者に対する税金を提案している。明らかに必要なことは、それを証明する方法で、ブロックチェーンにはそれが可能だ」

石油精製所も同じ問題に直面していると同氏は述べた。

「トータル(Total)やBPのような大手石油企業にとっての課題は、製造しているさまざまなプラスチックのうち、どれくらいがリサイクルされているか。これがトレーサビリティが重要な理由」

プラスチックのケミカルリサイクルは未来に向けた取り組みであり、そのための適切なインフラは整備されつつあるとジョンソン-ポエンスゲン氏は語った。そして、サーキュラーは、ケミカルリサイクルのための装置を製造するイギリス企業リサイクリング・テクノロジーズ(Recycling Technologies)との共同プロジェクトを「検討」していると付け加えた。

2020年3月に再生可能なディーゼル燃料とジェット燃料の世界的大手ネステ(Neste)から支援を受けたリサイクリング・テクノロジーズは、新しいプラスチック製造のための第一歩を踏み出した。

これはまた、通常なら埋立に使われたり、単に環境に垂れ流しとなるプラスチックを含めることで、機械的な手法も改善できるとリサイクリング・テクノロジーズのマーケティング・マネージャー、リサ・ザフェラニ(Lisa Zafferani)氏は述べた。

リサイクリング・テクノロジーズは、廃プラスチックをガスに変える熱分解システムを使っており、ガスはその後、石油化学企業によって石油に精製される。これは地下から採掘された原油の精製方法と同じだ。

「廃棄物やリサイクル業界にとって本当に興味深いことは、リサイクルプロセスにおいて廃プラスチックと、そのプロセスから生まれたものを追跡するために、ブロックチェーンのような技術をいかに利用できるかということだ」とザフェラニ氏は述べた。

翻訳:山口晶子
編集:増田隆幸
写真:Shutterstock
原文:Plastics Recycling Looks Promising to Enterprise Blockchain Startups

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