* * * 「家にいることがリスクになる人もいる」 困窮家庭の支援をしている人たちは皆そう言います。休校措置や外出制限、失業などで家族が一緒に過ごさなくてはならなくなり、虐待で居場所をなくして街に出る子どもや、DVを相談できずにいる人が、いま同じ空の下にたくさんいるのです。 非常時には、貧困や機能不全家族などですでに追い詰められていた人たちが、命に関わる状況に陥ります。支援者たちは、人との接触が制限される難しい条件下で、知恵と労力を絞って活動しています。食料配布、居場所の提供、相談窓口の設置など心の支援も。三密条件で通常の活動ができない分、配送費やオンライン設備などに費用がかかります。無理のない範囲で寄付をして、支援団体の活動を支えることも、いまできる人助けです。 読者の中にも、いつも以上に家族で苦しい思いをしている人がいるのでは。疎遠になっていた親族と連絡を取らざるを得なくなり、古傷が開いた人。難しい相手と適度な距離を保てなくなって、関係が悪化した人。人が変わったようになってしまった家族に戸惑っている人。人は不安になると攻撃的になります。これまで問題なかった関係が、急に心身をむしばむような重荷になることもあるでしょう。 私もこの危機で、人間のさまざまな面を見ました。幼い頃から一縷(いちる)の希望を捨てられずにいたけれど、やはり諦めなくてはならない関係もあるのだと思います。一方で、互いを思う気持ちが深まった間柄も。自身も不安だろうに、決して思いやりを忘れない人もいるのです。 人間関係は選べるようで選べない。その寂しさを知った人は、いま孤独な人を放っておけないのではないかと思います。誰も置き去りにしない社会に。寄付でも声かけでもいい。小さなことでも、できることはあります。 ※AERA 2020年6月2日号
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May 28, 2020 at 04:01AM
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小島慶子「コロナ危機で浮かび上がる『家族のリスク』 孤独な人に手を差し伸べて」〈AERA〉(AERA dot.) - Yahoo!ニュース
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