大手企業を中心に従来の日本企業の雇用形態とは違う、ジョブ型雇用導入の動きが加速している。経済学者の飯田泰之さんは「初めて仕事に就く人は永遠にスタートラインにすら立てないこともあり、結果、若い世代の所得が下がり、雇用が不安定になり、失業率が高くなります」という――。
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ジョブ型雇用で給料は増えるのか
グローバル化とIT化が進む中で、失われた30年とも言われる経済成長の低さに甘んじてきた日本。
少子高齢化による人材不足、人材の争奪戦、コロナリモートワークによる、より柔軟な働き方への欲求などから、雇用方法を見直す企業が増えている。
従来、日本では終身雇用が前提のもと新卒一括採用ののち、ローテーションで部署を異動させるなかで社員が多くのスキルを身につけさせていく雇用方法が主流だった。しかし、現在では必要な資格や仕事内容が明示された職種に、条件の見合った人が応募する「ジョブ型雇用」という形式を採用する企業が急増している。いわゆる欧米型の採用方式だ。
この方式をすでに取り入れているのが、日立製作所、富士通、カゴメ、三菱ケミカル、資生堂、KDDIなど、大学生の就職先としても人気の高い大手企業。ITや研究職など、高度な知識や専門性を必要とする職務では以前から採択されている方法だが、今や多くの職種に広がりつつある。
従来の雇用方式は、長時間労働の温床になる、個人のキャリア志向と関係なく異動させられる、人材の流動性が低く、高いスキルを持つ人材を獲得できないなどの問題点があり、政府も2018年の第5回「今後の若年者雇用に関わる研究会」の参考資料で、ジョブ型雇用を徐々に推進する方向性を打ち出している。
しかし、ジョブ型雇用は、既にスキルや資格がある者にとっては選択肢が広がる雇用形態だが、若年者にとっては不利な制度という見方もある。
実は、すでにジョブ型雇用が一般的な欧米では、若年層の就職のハードルが高くなることがわかっているため、若者を対象にした職業訓練プログラムが制度化されているほどだ。こうした状況を踏まえ、日本でこれから増えていくと予想される「ジョブ型雇用」の問題点とは何かを、経済の専門家である飯田泰之さんに聞いた。
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