全国2700社が導入し、話題沸騰のマネジメント法「識学(しきがく)」の代表・安藤広大氏の最新刊『数値化の鬼』。「仕事ができる人」に共通することは、「数字で考えること」や「数値化のクセをつけること」だと言う。数字によって自分の不足を客観的に受け入れ、次の行動設定や行動変容につなげることによって、人は「急成長」する。「数字で人を見るな」「数字がすべてではない」ということはよく言われるが、「数字」は決して無視できない存在。この本では、「感情を横に置いて、いったん数字で考える」「一瞬だけ心を鬼にして数値化する」など、頭を切り替える思考法を紹介する。
計画への「安心感」とは?
仕事ができる人になるためには、何が必要なのでしょうか。
それは、「計画」に時間をかけないことです。
「PDCA」というフレームワークでの「P」は計画ですが、これに時間をかけるのはムダです。
人間は、「計画を立てるとき」がもっともテンションが上がります。
旅行の予定を考えたり、お小遣いの使い道を考えたり、夏休みの宿題の予定を考えたり……。
まだ何も実行していないときは、気持ちだけが上がります。
いわゆる「とらぬタヌキの皮算用」ですが、ここに落とし穴があります。
それは、計画を立てるだけで安心してしまうことです。
「明日から頑張ろう」とする人
たとえば、1冊の本を読み切るために、「毎日20ページを読む」という目標を立てたとしましょう。
ここで重要なのは、その最初の日に本当に20ページを読むことです。
それなのに、計画を立てただけで満足し、「明日から頑張ろう」と思う人が多すぎます。
計画は、実際に行動が伴って初めて意味を持ちます。
計画での数字と、実際にやってみた数字。それを比較し、素早く不足を埋めるアクションに移ることが何より大事です。
数値化は「なんとなく」を許さない
ある商品を週に50個売ることを「P(計画)」として考えてみましょう。
最初の週は40個しか売れなかったとします。
10個が売れ残ったことを数値化しようとすれば、
「店頭での見せ方が悪かったかもしれない」
「商品について聞かれたときの説明がよくなかった可能性がある」
など、問題点が見えてくるでしょう。
また、例年なら100個が売れる時期に、ピタッと売れ行きが落ち、30個しか売れなかったとします。
日々、数値化をしておけば、「今年は何か変化が起こっているぞ」という違和感にいち早く気づけます。消費者の行動が変わったり、他の商品に人が流れていたりなど、原因を探る行動が取れるでしょう。
しかし、なんとなく感覚で売っていたら、この変化に気づくのに遅れます。
「先週より今週のほうがなんとなく売れ残っているな……」
「そういえば今年は売れ行きが落ちている気がするな……」
と、問題を放置してしまうと、とてつもなく大きな機会損失を生みます。
そうならないためには、1日の売上を数値化して、週の目標の数字を把握しておくこと。それを毎週、比較して「数字の変化」に気づけることが大事なのです。
「D」の回数を「行動量」とする
新入社員や若いプレーヤーに多く見られるのが、「P(計画)」から「D(行動)」へ移るときのタイムロスです。この「D」の回数こそが、重要なキーワードとなる「行動量」という概念です。
行動量は、その名のとおり、「何回やったのか」「1日に何時間できたのか」という「量」を表す数字です。
プレーヤーにとっては、行動量を極限まで上げていき、高いレベルで維持することが何より求められることです。
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモを経て、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)のジェイコム株式会社で取締役営業副本部長等を歴任。2013年、「識学」という考え方に出合い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2022年3月現在で、約2700社以上の導入実績があり、注目を集めている。最新刊『数値化の鬼』(ダイヤモンド社)の他に、29万部を突破したベストセラー『リーダーの仮面』(ダイヤモンド社)などがある。
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