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Friday, September 3, 2021

飲食店に初の時短要請 売り上げ激減に上がる悲鳴 [新型コロナウイルス] - 朝日新聞デジタル

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 【岩手】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、飲食店に時短営業への協力を求める要請期間が8月30日、盛岡市で始まった。9月12日までの予定だが、感染者数は依然として高止まりが続き、先行きの不透明さに、飲食店主からは不安の声があがる。

     ◇

 「50年近く商売をやっているが、1日の売り上げがゼロなのは初めて」

 時短要請期間が始まり2日経った1日夜、盛岡市内丸で串焼き専門店を営む鶴岡幸周さん(71)は肩を落とした。

 通常は午後5~11時の営業時間を、要請に従い午後4時半~8時にした。「仕事終わりの人は1時間ぐらいしかいられない。やっていけないよ」

 岩手県内初の感染者が出るまで、14席の店は連日満席。売り上げは1日4万円あった。しかし客足は徐々に遠のき、周辺の飲食店でクラスターが相次いで発生した5月には売り上げが半減。最近では1日に1組来ればいい方という。

 時短に応じた飲食店には、県からの協力金が売り上げに応じて1日あたり、中小企業には2万5千~7万5千円、大企業には最大20万円が給付される。

 だが、周囲には「協力金はほとんど家賃や固定費の支払いで消える」と話す店主がおり、休業に踏み切る店も少なくない。

 鶴岡さんは言う。「売り上げよりも、お客さんのために仕込んだものを捨てるのが何よりもつらい」

 また、協力金の給付対象は盛岡市内の飲食店のみで、対象にならない酒や食品の卸業者、市外の飲食店からは恨み節が漏れる。

 盛岡市に隣接する矢巾町のJR矢幅駅前では、居酒屋店主の男性が「盛岡市に時短要請が出た30日から、お客さんがぱったり来なくなった」と嘆く。

 これまで営業時間を短縮し、5人以上の団体客は断ってきた。席数も減らし、二酸化炭素濃度を測る機械や消毒液も設置している。出費はかさんだが、盛岡市中心部に負けない対策をしてきたつもりだ。

 「協力金をもらえれば店を休めるし、いっそのこと時短要請を出してほしい。これから秋、冬とどうすればいいのか」と不安を口にした。

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 県はこれまで感染対策として、事業者に営業の制限を設けず、県民の意識に訴える方法を取ってきた。

 8月12日に直近1週間の人口10万人あたりの感染者数が初めて15人(ステージ3の基準)を超えた際は、県独自の緊急事態宣言を発出。ただ、内容は「不要不急の外出自粛の要請」や「いわて旅応援プロジェクトの停止」にとどまった。

 しかし、感染拡大が止まらず、8日後には10万人あたりの感染者数が25・9人にまで増加すると、「まん延防止等重点措置」の適用を政府に要請。だが、他県に比べ病床に余裕があることなどから見送られ、盛岡市内の飲食店に限り、時短要請に踏み切った。

 市内に限定したのは、今年に入って発生した19件の飲食店クラスターのうち、14件が市内だったことや、店が集中する市中心部で、店から店への感染の連鎖が起きていたからだ。

 要請の期限は9月12日までで、達増拓也知事は3日の会見で「延長は考えていない」と発言。一方、過去には「10万人あたりの感染者数が10人未満になるまで、経済活動の再開は難しい」との考えも示しており、新たに対策を打ち出す可能性もある。

 10万人あたりの感染者数は8月下旬にいったん下がったものの、再び上昇し、9月3日まで6日連続で20人を超えている。終わりの見えないコロナ禍に、飲食店からは「もう限界」という声もあがる。

 県復興防災部の担当者は「協力金だけでは十分ではないことは承知している。だからこそ、ここで完全に感染拡大を抑え、経済活動を再開させることが最大の支援になる」と述べた。(奈良美里、中山直樹)

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