「キレ」「打球の伸び」を数値化する
東京大学野球部も例外ではない。東京六大学リーグの中で唯一リーグ優勝がない同校が、野球強豪校出身の選手たちがひしめくリーグの中で、データの積極活用によって難局を打開しようとしている。 野球部には127人の選手と、部の運営・会計・事務を担当する9人のマネージャー、練習サポートをする8人の学生コーチがいる。分析は配球、盗塁、打球、(相手の)投球フォームの4部門に細分化し、そのうち打球速度・打球角度の分析を齋藤周(あまね、4年=桜修館中等教育)が行っている。肩書は「学生コーチ兼アナリスト」だ。 主戦場である神宮球場に「トラックマン」という測定器が設置されたのが19年秋。そこが転機だった。リーグ戦の打球や投球の軌道をレーダーで感知し、人間の目では測れない細部を数値化できるようになった。例えば、投手が投げた球の回転数や回転方向、回転効率、変化量。打球においては、速度、角度、方向など。「キレがある」や「打球の伸び」など、抽象的な言葉でしか表現できなかった世界が、数値によって可視化できるようになった。ここを追い風としてチーム強化に生かそうというのが、東大野球部の目論見だった。
データを入力→“仮想ピッチャー”で練習
しかし注意点があった。これらのデータを解析するには、専門の会社があることからもわかる通り、難易度が高い。分析と解析は似て非なるもの。解析のデータを妄信して間違った方向に進んでしまう危険性もある。齋藤は土台となるプログラミング言語を習ったり、IT企業のインターンに参加したり、関連の書物を読み漁るなど、解析学を独自で勉強するようになった。「パソコンが苦手でエクセルもできないレベル」(本人談)からの努力、本気度はチームメイトも認めている。 分析チーフの佐々木拓実(4年)は「膨大にデータがあっても、どう生かすかを僕たち選手はわからないところがある。そこを周がわかりやすく説明し、アドバイスをくれた。相手投手の癖を読み取り盗塁数を増やすことができたり、打撃練習では相手投手のデータをマシンに入力し『仮想ピッチャー』を作って練習ができた」。「相手投手の予備知識があることで初見の球にビックリすることがなくなった」と話す選手もいた。 主将の大音周平(4年)は「齋藤のデータに全幅の信頼を置いていた。データがあることで自分がやるべき方向が定まり、支えられている部分が多かった」と、感謝を込めて話す。
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