自分が売った途端に株価がグングン上がり始める――。そんな苦い投資経験を持つ人も多いはず。ファイナンシャルプランナーの藤原久敏さんは「私自身、何度も儲け損なってきましたが、その経験から後悔しない売却ルールにたどりつきました」という――。
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売った途端に株価が4倍に暴騰した銘柄とは
今から5年程前、私は保有していたファンケルの株式を約20万円(※)で売却しました。
確固たる売却理由はとくになく、ただ、購入時の株価10万円が20万円に値上がりしており、「そろそろ売った方がいいかな……」という程度でした。
当時は、「10万円儲かった」「2倍に値上がりした」と、ウキウキしていたことを思い出します。
しかし売却直後から株価はグングン値上がりをして、その後、一時80万円を超える水準まで高騰するのでした。
これには、「60万円儲け損なった」「せめて、もう少し我慢していたら……」と、売却後も値上がりを続けるファンケルの株価を、恨めしく見続ける日々が続いたのでした。グングン上昇していく株価を見て、妄想上の(売っていなければ保有していた)資産がグングン増えていく一方で、それだけ実際の資産がグングン減っていくかのようにも思えてくるのでした。
儲かったにもかかわらず、まるで損失を被ったかのごとく、いや、むしろ損失を被ったときよりもストレスを感じる日々が続きました。
※ファンケルの株価は、分割前の株価に換算。
“値下がり”のほうが、「心の整理」をつけることができる
もちろん、私はこれまでの株式投資において、値下がりによって損失を被った銘柄もたくさんあります。
買値の半分、それ以下になった銘柄も少なくありません。しかし、それらについては不思議なもので、買値からグングン値下がりを始めた直後のストレスは大きいのですが、ある程度下がってしまうと、それ以降は、当初ほどストレスを感じにくくなってしまうのでした。
これは損失を抱えた状態に慣れてしまったこともありますが、値下がりについては最悪でも株価が0円になるだけ、すなわち「損失は有限」と腹をくくれたことも大きな理由です。
これは私だけではなく、同じような経験のある方も多いのでは? ただ、そのまま、値下がりした銘柄は塩漬けになってしまうことも多く、投資資金が拘束され、投資効率としては良くないのですが……。しかし、「ストレスを感じにくくなる≒心の整理がつく」という意味では、いつまでもウジウジ悩んでいるよりも、精神衛生上で考えれば、そう悪いことではないかもしれません。
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