米大統領選が行われた2020年11月3日からほどなく、「犯罪スキーム」が動き出した-。共和党のトランプ前大統領が、落選を覆すために公的な選挙手続きを妨害したなどとして刑事訴追された事件で、起訴状はこう指摘した。トランプ氏と側近らが、虚偽の主張や恫喝(どうかつ)を駆使して権力にしがみつこうとしていた様子が浮かび上がる。
偽の選挙人団
米大統領選は形式上、人口に応じて各州に割り当てられた「選挙人団」を一般有権者が選出し、選挙人団によって次期大統領が選出される間接方式をとる。
トランプ氏らはこれに目をつけた。バイデン現大統領に僅差で敗れた激戦州の西部アリゾナや南部ジョージア、東部ペンシルベニアなど7州で、投票を経ていない偽の選挙人団を組織してトランプ氏に投票させ、選挙結果を最終確定する21年1月6日の上下両院合同会議で認めさせることをもくろんだ。
そのためには、同会議を取り仕切るペンス副大統領(当時)の協力が不可欠だった。起訴状は、トランプ氏らがペンス氏に対し、「正規の選挙人団ではなく偽の投票結果を承認」してトランプ氏の勝利を宣言するか、正規の選挙人団を各州に送り返して少なくともバイデン氏の勝利を妨害するよう繰り返し迫ったと明らかにした。
そもそも副大統領に選挙結果を覆す権限はなく、ペンス氏はトランプ氏の要求を拒絶している。
司法省を政治利用
トランプ氏が側近らと共謀し、連邦捜査局(FBI)などを所管する司法省を利用しようとしていたことも明らかになった。
司法省は選挙後、結果を左右する不正は確認されなかったとトランプ氏にたびたび伝えている。にもかかわらずトランプ氏は20年末、自身の不正主張を司法省が支持しているようにみせるためにローゼン司法長官代行(当時)の名前で各州に書簡を送り、選挙人団のすげ替えに協力させることを計画。ローゼン氏が拒否するとホワイトハウスに呼びつけ、解任もあり得るとほのめかした。
司法省と大統領は、捜査の独立性を担保するために接触を避けるルールがあるが、これも無視された。トランプ氏は自身への捜査・起訴を「司法省の政治的訴追」と主張するが、実際には司法省への容喙(ようかい)を繰り返していたことになる。
〝被害者〟を主張
トランプ氏は1日の声明で「訴追の無法ぶりはナチス・ドイツやソ連、その他の独裁体制を思わせる」「(自分は)常に法律と憲法に従ってきた」と述べ、自身を〝被害者〟だと位置付けた。代理人のジョン・ラウロ弁護士はCNNテレビに、トランプ氏の不正主張は「政治的発言であり、事実だったかどうかは問題ではない」と主張した。
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