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サマリー:オンライン上で自分がどのように見られているか把握することは、キャリアの成功を図る上で重要である。シンプルな履歴書や推薦状を記載するだけでは、自分のプロフェッショナルな能力を伝えることはできない。本稿で... もっと見るは、オンライン上の個人イメージを意図的に管理することが、報酬にプラスの効果をもたらす点を説明する。 閉じる
ビジネスマンのポートフォリオとは
画家や写真家、ソングライターなどのアーティストをオンラインで検索すると、作品を紹介してクリエイターとしてのストーリーを伝えるキュレーションのページが見つかる可能性が高い。クリエイティブな分野では、デジタルのポートフォリオを編集することは名刺代わりでもある。しかし、ほかの分野では、そうしたキュレーションは後回しになりがちだ。管理職の多くは、デジタル空間において他者が自分をどのように発見するか、つまり、筆者たちが「デジタル・プロフェッショナル・プレゼンス」(DPP)と呼ぶものについて、十分に考えていない。
筆者たちの新しい研究では、DPPがキャリアの成功に与える影響を明らかにしたいと考え、次のようなテーマを設定した。それは、DPPが充実している人は、より高い報酬を得られるのか、というものだ。
まず、DPPを定量的に測定するために、リンクトインに注目した。経営のプロフェッショナルが、プロフェッショナルとしての自分自身をキュレーションして紹介する、有力なプラットフォームだ。リンクトインのユーザーは、プロフェッショナルである自分について、共有したい情報のレベルを柔軟にカスタマイズすることができ、今回の研究に最適なテストケースであった。また、世界中で9億3000万人という驚異的な利用者数を有している。
デジタルプレゼンスが報酬に与える効果を測定するために、2004~2011年に転職したエグゼクティブ1741人のサンプルを分析した。調査の焦点は、リンクトインの個人プロフィールに表示されるコンテンツの量をもとに測定されるDPPが、報酬の差と相関しているかどうかだ。その結果、DPPが充実しているほど報酬との間に正の相関がある一方、その相関の強さはいくつかの重要な要因によって異なることがわかった。
役職
ジュニアエグゼクティブはシニアエグゼクティブに比べて、充実したDPPの恩恵をより多く受けるかもしれない。
今回のサンプルにおいて、ジュニアエグゼクティブは充実したDPPの恩恵を受けていたが、シニアエグゼクティブはそうではなかった。シニアレベル、つまり社長やCスイート(経営幹部)の役職に就いているエグゼクティブには、測定可能な効果が見られなかったのだ。一方で、役職が低いエグゼクティブの場合、プロフィールの内容が標準偏差で1増加すると、報酬は4%上昇した。
報酬の違いを職歴の長さで見ると、プロフェッショナルの職業経験が5年しかない人は、公表しているプロフィールの充実度に関連して報酬が5.2%高くなるが、経験が15年になると1.9%増に留まった。
こうした発見は、プロフィールの可視性の恩恵を得やすいのは誰かと考える時、直感的に理解できるだろう。経験実績が短い人ほど、プロフィールを充実させるための情報が少ないのだ。
上級職は、目に見える評判を築く機会がより多かった。より長い実績があるということに加えて、自分の資質に関する追加情報を提供できるプロフェッショナルのネットワークへより多くアクセスできる。
一連の結果に対する別の解釈としては、報酬の差をつくり出しているのはDPPではなく、潜在的な資質だというものがある。つまり、より充実したプロフィールを持つ人は、公開して注目を集められるような資質が数多くあるというわけだ。
そこで、この点を考慮するために、転職に伴う報酬の差についても検証した。転職した時、新しい雇用主は、あなたの仕事ぶりを直接観察していないため、あなたのことを最小限しか知らない。このような場合、雇用主は履歴書や推薦状、自己申告の職務経歴書によって可視化された資質に頼るしかない。それがDPPである。
今回調査したエグゼクティブについて、筆者たちのデータには転職前後の報酬が反映されている。そのため、サンプルのエグゼクティブが元の雇用主によってよく知られていた時期と、新しい雇用主にとって未知であった時期について、それぞれDPPの効果を測定し、比較することができた。そして、DPPがもたらす報酬の差は、新しい雇用主との関係において、より大きくなることがわかった。転職直後にプロフィールの可視性がもたらす「割り増し」効果を検証すると、DPPの効果として5年の職業経験で6.4%、15年で2.0%、報酬が高くなる。
これらの結果は、実績があることだけでなく、実績の可視性が報酬を左右することを裏づけている。さらに、可視性の効果は、それまで見えていなかった属性が、DPPによって可視化されたことによってもたらされる。
雇用主は長い間、学位や経歴を、人材の質を評価する目安として利用してきた。MBA、中でも一流プログラムの修了者は、より高い報酬を得る。では、DPPも高い報酬と関係があるなら、これら2つの強みを組み合わせるとどうなるだろうか。結果は、MBAのような資格や経歴を持つ人の場合、DPPが追加する効果は有意なものではなかった。つまり、そうした「名声」を持つ人はさらなる効果を得るわけではないが、MBAのような資格がない人は、より充実したDPPによって利益を得られるということである。
からの記事と詳細 ( リンクトインのプロフィールを充実させると報酬は上がるのか キャリアに影響を与える4つのポイント | キャリア ... - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー )
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