先週木曜(18日)、岸田文雄首相が「宏池会(岸田派)解散」を宣言した夜、筆者は永田町で「事情通」氏と会っていると、彼のスマホが何度も鳴った。聞くと、若い記者たちからで、「ホントに解散するのか」という問い合わせだという。
若い記者は知らなかったのかもしれないが、自民党の派閥は1989年のリクルート事件を発端に行われた政治改革で、どこもいったん解散したものの、名前を変えて政策集団として復活している。だから、「解散しても、どうせまた復活するんだよな」という話で、その夜は盛り上がった。
別れ際に「事情通」氏は「岸田さんはちょっと乱暴なことをしたけど、支持率は上がるかもしれない。でも選挙はできないよ」と言っていた。
週が明けて出た世論調査の内閣支持率は、FNN(フジニュースネットワーク)・産経新聞が前月に比べて5ポイント上がったが、読売新聞は1ポイント減、朝日新聞は横ばいだった。3社をならすと、少なくとも「支持率回復」とまでは言えない。
1週間前の調査では、NHKが3ポイント、共同通信が5ポイント上昇し、内閣支持率は上向いているように見えた。能登半島地震における岸田政権の初動は悪くなく、自衛隊員の懸命な救援活動の映像が流れて、政権への信頼感、期待感が高まったのかと思っていた。
昨年からの流れを見ると、岸田政権の支持率は所得税減税など複合的な要因でじりじり下がり、暮れの「裏金」問題で信頼が地に落ちてしまった。だが、年明けの地震対応で盛り返し、「乾坤一擲」の岸田派解散で支持率の回復を狙ったが、有権者には見透かされてしまい、低迷したまま、ということだろうか。
調査で、政治改革に「必要なもの」として、「政策活動費の使途公開」「連座制などの罰則強化」の2つが、いずれもほぼ35%と関心が高い。これに対し、「派閥の解消」は8%に過ぎない。つまり国民は派閥には関心がなく、それより透明性や罰則の強化を望んでいる。つまり岸田首相はポイントを外している。
岸田首相にとって「いい話」もある。
まず、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長には「ダマ」で(=黙って)派閥解散を打ち出したので、2人は怒っているはずだが「岸田おろし」の動きはない。それは2人が本人も含めて強力な後継候補を持たないからだ。
第2に、調査で野党の政党支持率が上がっていない。FNN・産経では立憲民主党が2ポイント下がっているという数字まである。つまり、今解散すると、議席数は減っても与党過半数は確保できるのだろう。
ただ、「事情通」氏が言うように岸田首相に解散はもう無理だと思う。議席が減ることが分かっている解散というのは打てない。選挙の顔を変えるしかないのだ。 (フジテレビ上席解説委員 平井文夫)
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