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Saturday, August 1, 2020

マクラーレン「GT」は究極のグランドツーリングモデルと呼ぶにふさわしいクルマか? - @DIME

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 マクラーレン、第4のシリーズとなるニューモデル「GT」に乗って、先日、東京から伊勢の賢島を往復した。往復1000kmものグランドツアーだったが、極めて快適な旅だった。ハイパーカーの「アルティメット」シリーズ、スーパースポーツの「スーパー」と「スポーツ」シリーズなどで、ヒエラルキーを直線的に構成していたマクラーレンのモデルラインナップから「GT」はクルマの内容とキャラクターを少し横にズラしたところに位置している。つまり、動力性能一本槍ということではなく「GT」にはグランドツーリングのための快適性や実用性、十分な荷物積載量なども併せ持たされているのだ。

機械として優れているか? ★★★★★5.0(★5つが満点)

 外観も異なり、ファストバックスタイルを採用していて、大きなテールゲートを開けると中央が凹んだ荷物スペースが現れる。ここに470L、フロントのトランクに150Lの積載量が確保されている。実際に荷物はたくさん載った。2名と2名分の1泊分荷物に撮影用機材を載せても、まだ余裕が十分にあった。快適性の確保のためにサスペンションなども最適化され、スーパースポーツとしてもともと心地良かった乗り心地はさらに快適になった。一般道、高速道路を問わずに、丁寧に突き上げのカドを取り去り、上下動も抑え込んでいる。

 最高速は326km/h、0-100km/h加速は3.2秒という超高性能から想像される硬い乗り心地や激しい突き上げなどが皆無なのだ。だから、新東名での運転も安楽そのものだった。マクラーレン各車に共通する、軽量で堅牢なカーボンファイバー製シャシー(GT用は「モノセルIIーT」)と、賢い制御によって精緻な働きを見せるサスペンションのダンピングシステム「PDC」(プロアクティブ・ダンピング・コントロール)によるものだ。

 620馬力を発生する、おなじみの4.0L、V8ターボエンジンもごく低回転域からでも太いトルクが生み出していて、7段DCTを介して圧倒的な加速を示す。エンジンやトランスミッションなど、回転するメカニズム部分の精度が非常に高いから、余計なブレによる振動が極めて小さい。それも高品質の証しだ。併せて、エンジンの排気音とタイヤの擦過音が巧みに抑制されていることも好印象だった。

 最適化されたステアリングシステムも鋭敏に過ぎることなく、適度にマイルドだ。鋭敏過ぎると、やはり長距離運転では疲れてしまう。とてもバランスに優れている。「GT」は、マクラーレンのスポーツカーが共通して有している超高性能や意外な快適性の高さなどの長所はそのままに、そこにグランドツアラーに求められる十分な荷物積載量などを併せ持っている。

商品として魅力的か? ★★★★ 4.0(★5つが満点)

 620馬力ものパワフルな4.0L、V8エンジンをミッドに搭載し、動力性能はそのままに実用性と快適性を併せ持たせたマクラーレン「GT」のようなクルマは、今までありそうでなかった。実用性と快適性を向上させようとすると動力性能を少し犠牲にしなければならなかったし、今はスポーツカーでなくてもセダンやSUVの最強力版ならば速いクルマはいくらでも存在するようになったからだ。

 つまり、3人以上の人間とその荷物を積みたければ、選択肢はたくさん用意されているのである。では、そんな中からマクラーレン「GT」を積極的に選びたくなる理由とはどこにあるのだろうか? それは、とても速い2人乗りに限りながらも実用性と快適性を確保したいという贅沢な望みを持つ場合になるのではないか。

 マクラーレン「GT」は贅沢なクルマだ。通(つう)が選ぶクルマ、とも言える。もっと速いクルマもあるし、もっと人や荷物が載るクルマだってある。しかし、それらの中に1000kmを運転してここまで負担と疲労の少ない高性能車がどれだけあるだろうか?

 マクラーレンの理想主義的なエンジニアリングが、またひとつ成果を挙げている。そして、理想主義からは少し外れてしまうかもしれないけれども「GT」はこれまでのマクラーレンとは違って、さまざまなオプションや選択肢が用意されている。

 ボディカラー、ボディトリム、ホイール、インテリアのカラーや素材、シートなど書き切れないくらいの選択肢が存在していて、選ぶ楽しみも用意されているのも「GT」の特徴だ。トリムも3種類用意され、それぞれ異なった趣きのクルマを仕上げられるように準備されている。

 賢島を往復した「GT」のフロアにも「スーパーファブリック」という特許を取得したオプションの生地が用いられていた。染みや傷、刻み目などができにくく、汚れも付きにくく、洗濯可能で速乾性に優れているというものだ。シートや内装に、自動車用に開発されたカシミア素材によるものも選べるというから興味津々。贅沢そのものだ。

 そこまでやるのならば、ぜひ装備して欲しかったのが運転支援デバイスだ。任意に設定した車間距離を一定に保ちながら先行するクルマに追従走行するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)や走行している車線からはみ出しそうになると警告を出したり、クルマによってはステアリング操作をアシストするLKAS(レーンキープ・アシスト・システム)などが選べないのが惜しい。現代では、特にグランドツーリングには欠かせない
装備だ。

 その点を除けば「GT」はマクラーレンの狙いを十分に達成し、ブランドの幅を広げることに大いに貢献している。

■関連情報
https://cars.mclaren.com/jp-ja/new-mclaren-gt

文/金子浩久(モータージャーナリスト)

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August 01, 2020 at 04:08PM
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