デジタル機器の使用頻度が高まり、子どもたちの目への負担が増している。このほど示された文部科学省による小中学生の近視の実態調査結果で、学年が上がるほど近視とみられる児童生徒の割合が高くなることが分かった。スマートフォンやゲーム機の使用時間や使い方との関連が指摘され、こうした生活は「斜視」の発症につながる恐れも。成長期の子どもは症状の進行が早いため、専門医は「デジタル機器との付き合い方を見直してほしい」と呼び掛けている。
文科省の調査は、国公立の小中学校26校で、角膜から網膜までの長さ「眼軸長」の状態を調べた。眼軸長が長くなると焦点が合いにくくなり、近視になりやすくなる。成人の平均が24ミリ弱なのに対し、小1男子は22・96ミリ、小5男子23・92ミリ、中3男子24・61ミリだった。近視の可能性がある「裸眼視力1・0未満」の子どもも増えている。
「以前から近視の子は増えているが、スマホが普及し出した頃からその程度が上がったように感じる」。こう話すのは、県眼科医会の高良俊武会長。今や小学校高学年でも3割がスマホを持ち、新型コロナ禍の外出自粛やICT教育を推進する政府の「GIGAスクール構想」も相まって、子どもたちがデジタル機器に接する時間は年々伸びている。高良会長が近視症状で受診した子どもの親に尋ねると、8割がスマホやタブレット端末での「ゲームのやり過ぎ」を挙げるという。「眼球を動かすことなく手元の小さな画面を見続ける『近業作業』が関係している可能性は十分にある」と実感を込める。
デジタル機器の使い過ぎにより、急性後天共同性内斜視(AACE)の発症も懸念されている。AACEは、生後6カ月以降に遠視などの要因なく、突然目が内側に寄ることで発症する。2016年ごろから国内外で報告が相次ぎ、日本弱視斜視学会が全国調査に乗り出している。同学会理事長で浜松医科大の佐藤美保病院教授によると、これまで仕事でパソコンを使う大人が発症するケースがあったが、「スマホを長時間見た後に調子が悪くなった」と訪れる子どもが目立ち始めた。
治療はデジタル機器の利用制限や特殊な眼鏡の装着から、眼球を動かす筋肉をまひさせるボツリヌス毒素の注射や手術まである。大人の場合は物が二つに見えて歩きづらくなるなど症状が分かりやすいが、低年齢の子どもでは症状の訴えがないため周囲が気付きにくく、放置して視力の発達が止まってしまうケースがあるという。佐藤教授は「社会のデジタル化と目の健康管理という、相反することを平行して進めなくてはならない。大人でもデジタル機器の適切利用を心がけるのは難しいが、特に就学前の子どもには注意すべき」と話す。
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