レギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格が180円を超え、過去最高だった2008年8月以来、約15年ぶりの高値が続いている。こうした事態を受け、岸田文雄首相は22日、9月末で期限を迎えるガソリン価格抑制のための補助金を継続する方針を固めた。ガソリン価格はどうなるのだろうか。
180円超 「今はまだマシ」
「めちゃくちゃ高いけど、必要だから仕方ない。できるだけ使う量を減らすしかないね」。8月中旬、埼玉県内のガソリンスタンドで給油していた60代の男性は、ガソリン価格の先行きを不安視する。店頭には「レギュラー 175円」の表示。食料品や電気代など他の生活必需品の値上げも続く中、ガソリン価格の値上がりが続けば負担感は強まる。
輸送コストの高い山間部を抱える地方などではガソリン価格は更に高い。長野県では平均190円を超えた。そして、東京都内のスタンドではこんなことを言う男性従業員もいた。「まだまだ上がる可能性が高い。今の方がまだマシ、という考え方もある」
経済産業省が23日発表した21日時点の全国平均小売価格は、前週調査から1円80銭高い183円70銭。値上がりは5月下旬から14週連続だ。08年8月につけた過去最高の185円10銭も視野に入りつつある。
「合理的に考えれば、今後も段階的に上がっていくと考えるのが普通。『不確定要素』はあるが、195円程度になる可能性がある」と話すのは、ガソリン価格を調査している石油情報センターの担当者だ。
トリプルパンチで値上がり
値上がりの大きな要因は原油高だ。原油のアジア向け価格の指標となるドバイ原油は足元で1バレル=85ドル(約1万2000円)程度に上昇。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国でつくるOPECプラスが原油価格を下支えしようと24年末まで協調減産を続けるうえに、中東最大の産油国サウジアラビアが7月から自主減産にも踏み切っているためだ。サウジアラビアの自主減産は9月末まで続くことが決まっており、原油のほとんどを中東からの輸入に頼る日本のガソリン価格を押し上げている。
これに拍車をかけているのが円安だ。日米の金融政策の方向性の違いが意識され、東京外国為替市場の円相場は17日に一時146円台半ばをつけるなど、22年11月以来9カ月ぶりの円安・ドル高水準になった。原油はドル建てで取引されるため、円安が進むと輸入コストは上がる。石油情報センターによると、原油価格や為替水準がガソリンの小売価格に転嫁されるのは3~4週間程度かかるといい、上昇基調は続く見通しだ。
値上がりの三つ目の背景にあるのが、政府が22年1月から始めたガソリンの価格抑制策だ。同2月のロシアのウクライナ侵攻による原油価格の高騰などもあり、政府は補助を拡大。価格水準を168円程度に抑えるような仕組みにしてきた。
だが、今年5月末、原油価格高騰の一服感などを背景に経産省は、6月から段階的に補助の割合を減らして9月末には価格抑制策を終了すると発表。補助が縮小する分だけ、価格は上昇する。
経産省の試算によると、8月21日のガソリン価格は補助によって12円抑えられたという。補助がなければ、全国平均小売価格は195円70銭だったことになる。原油価格や為替の水準が現状のままだと仮定すると、補助がなくなる10月以降は190円台となる可能性が高かった。
どうなる? 価格抑制策
ガソリン価格が過去最高を突破しかねない中で、政府も動…
からの記事と詳細 ( どこまで上がる? ガソリン価格180円超の背景と補助金の行方 - 毎日新聞 )
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