植田総裁は、今回のYCCの運用見直しのねらいを「市場の見方がもう少し反映される余地を広げようという措置だ」とし、「経済物価情勢が上振れた場合に、それを反映する形で長期金利が上がっていくことについては0.5%と1%の間でそれを認める」と述べています。
ただ、日銀が長期金利をコントロールする上で意識するのは景気と物価の上振れだけではありません。
もう1つ重要な要素が為替市場の動向です。
内田副総裁が8月2日の会見で「今回の措置で為替市場を含めた金融市場のボラティリティー(変動)というのは重要な要素だった」と説明したように、7月に日銀が金融緩和策の柔軟化を決めた背景には、過度な為替の変動を防ぐ目的がありました。
日銀は7月の会合以前は、0.5%を下回る水準となるよう長期金利を厳格に抑え込む対応をとってきました。
しかし、これが日米の金利差の拡大をもたらし、急激な円安につながったとも指摘されています。
今回、長期金利の上昇を一定水準まで容認するようにしたことで、これ以上の円安をけん制するねらいがあった、市場はそう受け止めています。
ただ、これまでのパターンとは異なり、長期金利が上昇しても為替は円高ではなく、円安の方向に動いています。
こうした中で日銀が国債買い入れオペで金利を抑え込もうとすると、日米の金利差が拡大し、さらに円安が進む可能性もあります。
8月になって円相場は、去年9月に政府・日銀が市場介入を行った1ドル=145円台後半を超える1ドル=146円台まで値下がりしました。
円安が進めば、輸入物価が再び上昇して食料品やガソリンなどの価格がさらに値上がりし、人々の生活を直撃するおそれもあります。
これは政府・日銀としてはどうしても避けたいシナリオです。
このため市場関係者の間では、日銀が円安阻止という観点から、長期金利の一段の上昇を容認せざるを得ないのではないかという見方もあります。
からの記事と詳細 ( 長期金利急上昇 どこまで上がるの?【経済コラム】 - nhk.or.jp )
https://ift.tt/ytmJWiT
No comments:
Post a Comment