[30日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は30日、10年にわたる大規模な金融緩和によって、2%物価目標の実現が「はっきりと視界に捉えられる状況になった」と明言した。現在はまだ賃金や物価の動向を謙虚に見つめていくべき局面にあり、金融緩和の継続が適当だが、来年1―3月ごろには賃上げのすう勢や今年後半の物価動向などのデータから物価目標実現への「解像度が一段と上がる」と期待感を示した。
北海道釧路市で開いた金融経済懇談会であいさつした。田村委員は景気や物価の先行きについて、上下双方の不確実性があるとしながらも、強気な見方を示した。
物価については「想定以上に上振れる可能性も否定できない」とし、企業の価格転嫁の動きが今なお続いていることやサービス価格の上昇ペース加速を理由に挙げた。労働需給の引き締まりなどで持続的な賃上げが期待できるともしている。
景気については、GX(グリーン・トランスフォーメーション)関連やサプライチェーンの強靱化に向けた投資の増加、生産性向上を受けた賃金と物価の好循環の強まりなどによって「先行きの成長率は上振れする可能性が相応にある」と指摘した。
<企業の価格設定行動、「デフレ期から変化した」>
田村委員は企業の価格設定行動について、総じて「デフレ期の行動から変化した」とし、日銀が7月の展望リポートで示した、企業の賃金・価格設定行動には「変化の兆しがみられている」との文言より明らかに強い表現を用いた。
賃金については、今年も人手不足の状況が続くと想定されるほか、昨年同様の高い物価上昇率が予想されることなどから、来年の春闘でも「高めの賃上げが期待できる」と語った。
7月の決定会合で決めたイールドカーブ・コントロール(YCC)の運用柔軟化について、狙いは先々の上下双方向のリスクを考慮して、YCCの枠組みによる金融緩和の持続性を高めることにあると説明。
金利形成はより市場に委ねられることになるが、「ファンダメンタルズから乖離した投機的な動きや急激な金利変動が見られる場合には、国債の買い入れ額の増額等によって、過度な金利上昇圧力は抑制していく」と述べた。日銀は10年金利1%で連続指し値オペを実施しているが「現状、長期金利がそこまで上昇することはないと考えている」と話した。
(和田崇彦)
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」
からの記事と詳細 ( 物価目標実現が視界に、来年1―3月「解像度上がる」=田村日銀委員 - ロイター (Reuters Japan) )
https://ift.tt/AKtJ6iV
No comments:
Post a Comment