現存する国内最古の歴史書「古事記」の編纂(へんさん)者として知られる飛鳥~奈良時代の役人、太安万侶(おおのやすまろ)(生年不明~723年)の実像に迫る秋季特別展「古事記編纂者 太安萬侶」が、奈良県橿原市の橿原考古学研究所付属博物館で開かれている。世紀の発見といわれた安万侶の墓誌や、当時の生活の様子を伝える出土品など350点を紹介している。11月26日まで。
安万侶は、現在の田原本町周辺を本拠とした豪族・多(おお)氏の出身。元明天皇の命を受けて古事記を編纂したことで名高い。昭和54年に奈良市内の茶畑から安万侶の氏名や官位、死亡年月日などを刻んだ銅製の墓誌が見つかり、安万侶の墓と判明。火葬された痕跡を持つ人骨も確認され、当時大きな注目を集めた。
展示では、国の重要文化財に指定されている安万侶の墓誌のほか、飛鳥時代の官人、文祢麻呂(ふみのねまろ)の墓誌(国宝)、飛鳥~奈良時代の僧、行基の墓誌の一部などを紹介。日本独自の細長い形のものや、中国でみられる正方形に近い形のものなど、さまざまな墓誌が並び、時期による変遷の様子をたどることができる。
また、安万侶が暮らした平城京の様子を伝える遺物も紹介。墓誌には、現在のJR奈良駅西側にあたる「左京四条四坊」の文字があり、安万侶はこの場所で生活していたとされる。展示では、左京四条四坊の周辺から見つかった羊の形をしたすずりや、同時代の皇族の邸宅跡から出土した瓦などを並べ、平城京の暮らしぶりを紹介している。
同館の平井洸史学芸員は「墓の簡素化を推進した元明天皇の方針に従って自らの墓の副葬品を最小限にとどめるなど、天皇に忠実な臣下としての安万侶像が見えてくる」と話す。
開館時間は午前9時~午後5時(入場は午後4時半まで)。月曜休館。「関西文化の日」の11月18、19日は無料。問い合わせは、同館(0744・24・1185)。
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