「そこじゃない」。学生の教職離れについて文部科学省の示した教員採用試験の早期化策に、学生や大学、教育委員会などから疑問の声が出ている。
文科省の提案する早期化策とは何か。
多くの自治体では7月に採用試験がある。策は、来年度であれば6月16日に日程を合わせれば、国の教員資格認定試験の問題を使っていいよ、というものだ。「前倒しにすると、高校入試や人事異動案の作成など他の業務との関係で苦しい」。そんな教委の声に応えた。「採用試験は自治体の責任」と言っていた、かつての国の構えからは様変わりだ。
学生「遅すぎる」
ただ、この策について学生に聞くと、「16日では遅すぎる」という声が多い。「内々定がとっくに出ている」「民間企業の採用活動も同時に早期化しているから効果がないのでは」というのだ。
採用試験に落ち、講師など非正規教員をしながら正規教員を目指そうと考えている学生の評判もいま一歩だ。「試験が前倒しになると4、5月は受験勉強で非正規をやる余裕はなくなる」。教委内で、講師を集める担当からも懸念の声があがる。「既卒者が受験勉強に取り組むため教員不足がさらに加速しかねない」
大学教員も首をかしげる。「6月16日となると、5~6月の教育実習とバッティングする」。これを避けるのに、文科省は1~2年生段階から現場の活動を経験させる案を示した。だが「それでは総仕上げとしての実習の意味が薄れる」と懸念する教員も少なくない。
教職離れといっても、学生は一色ではない。今回の対策のターゲットは教職に就くのを迷っている学生だ。「この層に早期化策は効かないのでは」と分析するのは、採用試験の動向を調べる研究者たち。なぜなら、教員の労働環境の厳しさから迷っている場合が多いからだという。
やはり王道は・・・
この予測は、筆者の実感とも重なる。迷う学生ほど今回の早期化案は不評で「そこじゃない」「働き方改革の方が先でしょ」と話すのである。
教職離れへの対策の王道は何か。やはり現場の労働環境を改善することではないか。文科省や教委は、学生の「学校現場が変わってほしい」という願いをかなえる取り組みをさらに重ねてほしい。(編集委員・氏岡真弓)
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