渡辺努 東京大学大学院経済学研究科教授インタビュー
国内の物価上昇率は、依然として2%を優に上回る高い水準が続いている。2024年の物価はどの方向に向かうのか。特集『総予測2024』の本稿では、物価研究の第一人者である渡辺努・東京大学大学院教授に、具体的な数値でメインシナリオと波乱要因を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
23年の物価は日銀の見通しと乖離
エコノミストの想定外の物価上昇
――2023年の日本の物価上昇率は高いままでした。
私は22年の春に、さまざまなアンケート調査やデータから、明らかに物価に対する捉え方が変わっていると思いました。
「値上げを許容し始めた」という言い方は怒られましたが(編集部注:渡辺努教授らの調査を根拠に、22年6月に当時の黒田東彦・日本銀行総裁が「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言して世間から批判を浴びたことを指す)、私はそう感じました。なので、その後物価が上がっても特に驚きませんでした。
そして、企業も価格を転嫁する姿勢を強めていることから、23年の物価上昇は高い水準で続くと思いました。おおむね予想通りです。
ただし、これは日銀やエコノミストとは随分と異なる見通しでした。一例として、ESPフォーキャスト調査(編集部注:民間のエコノミスト約40人が、日本経済の重要指標について回答する調査。日本経済研究センターが公表している)を紹介します。
23年1月の調査結果では、23年7月ごろに消費者物価指数(CPI)上昇率は2%を割り込むというのが多くのエコノミストの見通しでした。実際は足元で3%前後なので、物価の上昇はエコノミストの想定より長引いています。
――日銀は23年10月の金融政策決定会合でも、物価の見通しを上方修正しました。
23年7~9月の物価を受けて、読み誤った分だけを修正したにすぎません。日銀の物価の見通しは、22年から一貫して弱気です。
日銀の見通しの弱さは、春闘にも影響が及びます。適切に見通せていれば、物価や賃金が上がるという世の中の風潮が強まって、もう少し物価や賃金が高くなった可能性もあったはずです。
――24年の国内の物価についてはどのように見通していますか。
24年の国内の物価はどうなるのか。次ページでは、物価研究の第一人者である渡辺努・東大教授が、具体的な数値で見通しを明らかにした。さらに、メインシナリオが崩れる波乱要因についても聞いた。
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