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Thursday, January 20, 2022

目の前でパフェが積み上がる デザートのライブ感を味わう「お菓子 つくる」 - 朝日新聞デジタル

layaknaik.blogspot.com

目の前で積み上げられるパフェの層。揚げたてにパラリと塩をふったポテトチップス。おやつだけれど、おやつと呼ぶにはぜいたくすぎる時間を過ごすことができるカフェ「お菓子 つくる」が、今回のさんぽの行き先です。オープンキッチンで次々とデザートが作られる様子は、まるで割烹(かっぽう)レストランのよう。できあがっていく過程も丸ごと味わう、新しいカフェのスタイルに胸が躍ります。

暮らすように、小さな旅にでかけるように、自然体の京都を楽しむ。連載「京都ゆるり休日さんぽ」はそんな気持ちで、毎週金曜日に京都の素敵なスポットをご案内しています。

シェフの前菜をいただきながら、パフェの層を眺める幸せ

グラスの底にホワイトチョコレートのソース、大粒のイチゴ「紅ほっぺ」をのせたパフェの作り始め。ここから次々と層が重ねられる
グラスの底にホワイトチョコレートのソース、大粒のイチゴ「紅ほっぺ」をのせたパフェの作り始め。ここから次々と層が重ねられる

早春のデザートの主役はなんといっても、イチゴ。真っ赤に熟れた大粒のイチゴが一つ、二つと盛り付けられるたびに、できあがりを待つ人たちの顔がほころびます。L字形のカウンターの向こうで、鮮やかにデザートを仕上げていくのはシェフの伊藤龍二さん。フレンチやイタリアンのレストランで約20年活躍した後、独立。料理人時代も、コースの最後に提供するデザートにひときわ情熱を注いできました。

シェフの伊藤龍二さん。作りたてであることを大切に、料理人ならではの経験と手際でその場でデザートを仕上げていく
シェフの伊藤龍二さん。作りたてであることを大切に、料理人ならではの経験と手際でその場でデザートを仕上げていく

「できあがるのを待つ時間も、味覚を刺激できたら」と話す「つくる」流のスタイルは、メインの前後に1皿ずつ、前菜とお口直しの一品を提供すること。さらにドリンクは2杯選ぶことができ、常に何かを味わう楽しみをかたわらに、時間を過ごすことができます。

季節に応じて変わる前菜。この日は、京都・大原の赤カブに、黒烏龍(ウーロン)茶のジュレ、リンゴ(紅玉)のマスタードソースを添えたもの
季節に応じて変わる前菜。この日は、京都・大原の赤カブに、黒烏龍(ウーロン)茶のジュレ、リンゴ(紅玉)のマスタードソースを添えたもの

前菜となる一皿には旬の野菜を使い、甘さとみずみずしさを兼ね備えた、スイーツと料理の中間のような口あたりに。さっぱりと潤う余韻を味わいながら、4種から選べるメインのスイーツを待ちます。中でも、季節のフルーツを採り入れたパフェは「つくる」のスペシャリテ。

先ほどのグラスにさらに層を重ね、直前に塩こうじでマリネしたイチゴをたっぷりと
先ほどのグラスにさらに層を重ね、直前に塩こうじでマリネしたイチゴをたっぷりと

ホワイトチョコレートのソース、台湾茶・阿里山金萱茶(アリサンキンセンチャ)のゼリー、塩こうじでマリネしたイチゴ、求肥(ぎゅうひ)で包んだオリーブオイルのアイスクリーム……。次々と重ねられるパフェの層を眺めて「そろそろできあがりかな?」と思うも、まだまだ。

スポンジとギモーヴを重ね、阿里山金萱茶のシロップを。台湾茶や煎茶などお茶を利かせる技は、伊藤さんが得意とするスタイル
スポンジとギモーヴを重ね、阿里山金萱茶のシロップを。台湾茶や煎茶などお茶を効かせる技は、伊藤さんが得意とするスタイル

バスクチーズケーキのクリームやスポンジ、ギモーヴ(マシュマロ)など、パティシエの技巧が凝らされた一品一品がさらに積み重なり、グラスの中に夢のようなイチゴの島が現れます。

味覚も締まる、締めのポテチ 最後の一口までおいしい記憶を

期間限定の「苺(イチゴ)のぱふぇ」(2800円、税込み。前菜とポテトチップス、ドリンク2杯付き)
期間限定の「苺(イチゴ)のぱふぇ」(2800円、税込み。前菜とポテトチップス、ドリンク2杯付き)

さまざまな風味と食感が調和し溶け合うパフェは、ボリュームに反してするするとおなかに収まる軽やかさです。それでも、たっぷりの甘いものをいただいた後は少し締まりのある味が欲しくなるもの。そこで、最後に供されるのが揚げたてのポテトチップスです。

L字形のカウンター席のみの空間。中央のオープンキッチンで作る工程を眺めるライブ感が楽しい
L字形のカウンター席のみの空間。中央のオープンキッチンで作る工程を眺めるライブ感が楽しい

「甘いものをたくさん食べたあと、ふと子どものおやつのポテチをつまんだら、すごく後味が締まったんです。そこからヒントを得て、最後まで“おいしい”口で終えてもらえたらと思って」(伊藤さん)

締めのポテトチップス。じゃがいもはその時期おいしい品種を厳選。ほどよい塩気がいいあんばい
締めのポテトチップス。じゃがいもはその時期おいしい品種を厳選。ほどよい塩気がいいあんばい

メインのデザートを食べ終わるころに揚げはじめ、揚げたてにフリーズドライの梅と北海道・羅臼産の塩をふりかけて出されます。香ばしいポテトの風味と心地よい塩気が、甘さにゆるんだ感覚をキリッと引き締める。この一連の流れが、クセになること請け合い。

「つくる」のもう一つの顔が、朝食営業。ふんわり、もっちりとした食感がやみつきになるドーナツのほか、トーストやホットケーキのメニューも。「つくるのドーナツ」(300円)、「つくるのブレンド」(550円)。いずれも税込み
「つくる」のもう一つの顔が、朝食営業。ふんわり、もっちりとした食感がやみつきになるドーナツのほか、トーストやホットケーキのメニューも。「つくるのドーナツ」(300円)、「つくるのブレンド」(550円)。いずれも税込み

「食べたもの一つひとつが記憶に残るような、そういう味を作ることができたらと思います。全部手作りですがそれ以上に、お客さんの時間をつくるということも(店名には)あるのかなと」(伊藤さん)

ショーケースにはテイクアウトの焼き菓子が並ぶ。人気のドーナツは1人2個まで
ショーケースにはテイクアウトの焼き菓子が並ぶ。人気のドーナツは1人2個まで

待つ時間も、できあがる工程も、食べ終えるまでの変化も、ストーリーのように楽しむ。するとおやつは間食ではなく、豊かな食体験の一つになります。心満たす甘い時間を、時々自分自身に作ってあげてはいかがでしょう。

長屋の趣を残した外観に、ガラス張りのファサードが心地よい
長屋の趣を残した外観に、ガラス張りのファサードが心地よい

■お菓子 つくる https://www.instagram.com/okashi_tsukuru_kyoto/

フォトギャラリー(クリックすると、写真を次々とご覧いただけます)

BOOK

目の前でパフェが積み上がる デザートのライブ感を味わう「お菓子 つくる」

京都のいいとこ。

大橋知沙さんの著書「京都のいいとこ。」(朝日新聞出版)が2019年6月7日に出版されました。&Travelの人気連載「京都ゆるり休日さんぽ」で2016年11月~2019年4月まで掲載した記事の中から厳選、加筆修正、新たに取材した京都のスポット90軒を紹介しています。エリア別に記事を再編して、わかりやすい地図も付いています。この本が京都への旅の一助になれば幸いです。税別1200円。

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