西堀岳路
岸壁で住民たちが見守る中、海中のダイバーたちがぐったりとした人影を抱きかかえていた。浮かび上がらせたのは、実は重さ約60キロもあるリアルな人形。昨年、釣り人が岸壁から転落する事故が例年にも増して相次いだため、第2管区海上保安本部と福島県いわき市消防が合同で訓練を行った。
福島海上保安部によると、釣り人が岸壁から転落する事故は、2020年までは県内で例年2~3人だったが、昨年は6人。「コロナ禍の影響か、釣り人口が増えた」(担当者)ことも影響しているという。海保も消防も港内の人命救助で出動するが、それぞれ用語や機材、潜水時間の運用も異なる。そのため昨年から、合同訓練で連携強化を図っている。
小名浜港(福島県いわき市)で8日にあった訓練には、海保から仙台航空基地機動救難士、消防からは小名浜消防署潜水隊員のダイバー計9人が参加。釣り人が海へ転落して行方不明という想定で、海底に沈めた人形を共同で捜索した。
訓練現場の水深は4~6メートル、視界は2メートルほど。ダイバーらは浮きを設置して海底とつないだ縦のロープに対し、長さ約20メートルのロープを海底付近に横に張って7人が並んで持ち、時計の針を押し回すように泳いで捜した。
発見した人形は海面でそり型担架に乗せて、消防のクレーンで陸へと揚げた。海保のダイバーは「特殊車両など海保にない消防の資機材が頼りになる」。消防のダイバーは「要救助者を救う同じ目的のため、お互いの技術を吸収しあいたい」と話した。(西堀岳路)
からの記事と詳細 ( 海中から浮かび上がる人影は… 海保と消防が合同訓練:朝日新聞デジタル - 朝日新聞デジタル )
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