転職して給料が上がる人 アメリカは約77%、中国は約88%、 日本は・・・40%以下 【報道1930】
■「企業が利益を上げて株主に配当するためなら平気で従業員を切るようになった」
日本たばこ産業(JT)は、46歳以上を対象に2950人の早期退職を公表した。
スタジオゲストの森永卓郎氏はJT出身だが、今回の早期希望退職の募集はかつてのそれとはまったく違うという。
経済アナリスト 森永卓郎氏:
「JTは15年位前も早期退職を募った。かなりの額(退職金の)上乗せして(1億円ともいわれた)、私の同期の7割くらいやめた。でもその時は喫煙率がどんどん下がって、会社の経営が厳しくなって(退職を募った)。でも今回は違う。
今、日本たばこは配当利回り6%くらいあるのかな?とにかくもの凄く儲かってる。海外市場が伸びて…。それでも早期退職募集するっていうのは、かつて社員は仲間だったけど、今は利益あげるためにバッサバッサ切る。もう社員は道具。だから黒字企業の希望退職募集がバンバン出てきてる。(中略)会社の利益を上げて株主に配当するためだったら平気で従業員を切るようになった」
森永氏はマイナス面を強調したが、一方で、こうした流れは人材の流動化が当たり前の欧米型に企業がシフトしている1例でもある。将来的にこのシステムが主流になれば、日本も海外並みにキャリアアップが進むかもしれない。
■「新入社員で転職サイトに登録する人が10年で26倍」
転職の仕組みも変わり始めている。
従来は人材が欲しい企業が募集をかけ、転職希望者が面接に赴いていた。
だが、テレビCMでもおなじみの転職サイト『ビズリーチ』のシステムはこうだ。
転職希望者が年収やスキルを記した職務経歴書をビズリーチに登録し、一方、企業側は人材を検索し欲しい人材がいたら直接スカウトにいく。自分を売り込む人は現在144万人を超え、これは5年で3.5倍になっているという。人を求める企業も1万8000社ありこちらも5年で2.5倍になっている。
こうした状況について、元リクルート社で若者のキャリアを支援してきた人材育成のスペシャリストに聞いた。
(株)Feel Works代表 前川孝雄氏:
「実は登録している人たちが皆、すぐに転職したいわけではない。登録しておいて“自分の市場評価”を知りたい、という人がだいぶ含まれています。(中略)ほかの転職サイトのデータでは、驚いたことに新入社員のタイミングで転職サイトに登録する人が10年間で26倍に増えています。これも今すぐ辞めたいわけではなく、自分の労働市場での評価を横目で見ながら、ちゃんとプロになれるか把握しながら働きたいと」
企業も変われば、働き手の意識も変わりつつある。だが、これらの例は、ごく一部の企業と、若い世代の働き手の話だ。日本でキャリアアップが進まない本質は、日本型といわれる会社の在り様と、その日本型に漬かりきった働き手にあるようだ。
■「日本は“就職”ではなく“就社”なんですよ」
日本の転職の現実を現した数字がある。
「転職で5%以上年収が増えた」・・・アメリカ76.5%、フランス75%、中国88.7%、
これに対し、日本は、39.7%だ。
「転職して役職が上がった」・・・アメリカ42.6%、フランス41.4%、中国51.1%、
これに対し、日本は、わずか8.5%。
「転職先は会社規模が小さくなった」・・・アメリカ7.8%、フランス5.9%、中国5%、
これは日本が大きく上回って17.6%だ。
経済アナリスト 森永卓郎氏:
「アメリカでは、どの会社の、どの事業所の、どの職種で働くか自分で決める。そしてそこに入ったら転勤も異動も昇給もなくて、ずーっとそこで働く。で、昇給させたかったら、社内外で例えば部長の公募などを探して応募する。それで通ったら部長になれて、昇給する。日本みたいに年功序列で上がっていかない。だから転職で良くなるのは当前なんです。私の知り合いなんか、外資の貨物輸送の会社でバイトだったんですが、部長の公募に通っちゃって、バイトからいきなり部長になった。そういう仕組みなんですよ」
日本型の会社や雇用は、外国に比べ根本的に異なっている。
(株)Feel Works代表 前川孝雄氏:
「日本の場合は、“就職”ではなく、“就社”なんですよ。自分のキャリアとか自分で考えなくても
ジョブローテーション(人材育成のために部署や職務を異動する)でステップアップできるわけですね。自分でどういうキャリアを歩んでいきたいか、どういうスキルが必要か、考えなくてもいい仕組みなんです。仕組みだけ欧米化しても、個人がどういうキャリアを作っていきたいのか、特に中高年人材は考えていない、そこをテコ入れしないと…」
日本企業は“メンバーシップ型”とされ、欧米、特にアメリカ企業は“ジョブ型”とされる。
それぞれメリット、デメリットはあるが、日本のメンバーシップ型、いちばんの問題はどこにあるのだろうか?
■「大手企業が一番処遇などで困っているのは、ミドル層・・・」
メンバーシップ型(日本型)の特徴は、いま持っている実力でなく、潜在能力を信じた新卒学生の一括採用。社内で育成し、様々な部署を経験させゼネラリストを育てる。基本給は勤続年数でアップする。
一方、海外の企業はほとんどがジョブ型だ。これは企業がスタートから職務に応じた能力を有した人材を求め、採用される側も自分の学位や仕事の経験を売り込む。雇われたスペシャリストたちは、給料を上げたければ、同じ職務の賃金の高い企業に転職するという選択しながらキャリアアップしていく。
日本だけが続けるメンバーシップ型は、将来的には淘汰されていくのだろうか?
(株)Feel Works代表 前川孝雄氏:
「二つの違いを賃金で言うとメンバーシップ型は年功序列、これは“後払いシステム”です。
ジョブ型は、いわゆる“即時払い”、このジョブ(仕事)に対してこのペイ(賃金)ですよっていう。」
つまり、日本型の企業は徐々に負担が重くなってくる。さらに前川氏は続けた…。
(株)Feel Works代表 前川孝雄氏:
「いきなり欧米型にシフトはできません。日本が1000万払うと言えば、欧米の巨大な企業は3000万払う。そうしたら勝負にならないわけです。日本はメンバーシップの良いところを生かして、ポテンシャルの高い若者を一人前に育てていくやりかたは残していく。そして一人前になった後は、その人は会社任せというのはなしで、リスキル(学びなおし)する意識が大切となるように徐々に変わっていくハイブリッド型がいいと思う。日本型の企業がこれからどういう人たちをリスキルしていくか考えると、中高年人材なんですよ。そこのテコ入れができていない。ただ日本の雇用保険の仕組みは、生活守るための必要給付になっているんです。本来ならスキルを身につけステップアップするための支援になっていかないといけない。そこの仕組みがまだできていないということなんです」
どうやって中高年層を生かし、スキルアップし、これまで以上に市場に新しい価値を生み出していくのか・・・日本の今後の浮沈にもかかわる問題に
番組のニュース解説、堤氏はストレートな表現でまとめてくれた。
国際情報誌『フォーサイト』元編集長 堤伸輔氏:
「日本の場合、問題は、実は50歳以上の人たちがジョブ型であるべきなのに、ゼネラリストとして経営側に回って・・・、言葉悪いかもしれませんが、あまり働いていない人が多いんですね。(中略)極端にいうと、50歳以上の人たちが役員になって会社に残るっていうやり方をやめない限り、変わらないし、誰の幸せにもつながらない」
(BS-TBS 『報道1930』 2月21日放送より)
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