聞き手・西尾邦明
学び直し(リスキリング)を促し、仕事内容に応じて給料を決める「職務給」を普及させ、成長分野に転職しやすくする――。岸田政権はそんな仕組みで「構造的賃上げ」を実現することをめざしています。ただ、1990年代に日本の不良債権問題をいち早く見抜いて「伝説のアナリスト」と呼ばれたというデービッド・アトキンソン氏は「思いつきの政策では無理がある」と指摘します。では一体どうすればいいのか。処方箋(せん)を聞きました。
――政府の「構造的賃上げ」に向けた施策をどう評価しますか。
「思いつきの政策にしか見えず、無理があります。給料が上がっている欧米はジョブ型で転職も多い。だから同じようにすれば日本も賃金が上がるはずだと考えたのでしょう。でも、ジョブ型なら賃金が上がるというわけではありません。たとえばイタリアはジョブ型ですが、賃金は上がっていません。因果関係を検証せず、表面的なことだけ海外のまねをしてもマジックのように給料が上がることはないのです」
「リスキリングも政府は労働者の選択を重視していますが、欧米では企業が主体です。パソコン教室に通いメールを習ったのに、会社ではFAXを使っていたということがかつてありました。英会話教室も同じです。リスキリングをしても会社がそのスキルを使わなければ意味がありません。企業が身銭を切って人にも設備にも投資するからこそ、成長につながります」
――評価できる点はありますか。
「転職をしやすくすることは評価できます。人手不足の中、特に若手は転職で給料をアップできるでしょう。ただ、日本で給料が上がらない一番の理由は、労働市場にあるわけではないのです」
――では、何が問題なのですか。
日本の生産性、ギリシャより低い世界42位
「私はずっと生産性だと言っ…
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