日銀は31日の金融政策決定会合で長期金利を低く抑える政策を再修正しました。長期金利の上昇は、身近な金融商品など暮らしに影響をもたらします。現状と今後の見通しを整理しました。(大島宏一郎、寺本康弘)
長期金利操作 日銀が2016年9月に導入した金融緩和策で長期金利(10年物国債の利回り)を抑え込むため、国債の買い入れを積極的に行うというもの。金利を0%程度にすることを目標とし、18年7月に上下0.2%程度まで変動することを容認。21年3月に上下0.25%程度に、22年12月に上下0.5%程度と段階的に変動幅を拡大し、23年7月には上限を1%に引き上げた。
Q 政策修正でどのような影響が出そうですか。
A まず考えられるのが住宅ローンの固定金利の上昇です。固定金利は返済中に金利が変わらない仕組みで、各銀行は長期金利の水準を参考に決めています。日銀が7月に緩和策を修正して以降、固定金利は上昇傾向。メガバンク3行は11月も固定期間10年の基準金利(店頭金利)を一斉に引き上げ、最大手の三菱UFJ銀の10年固定金利は2013年8月以来の高い水準となっています。今回の決定で固定金利は12月以降さらに引き上げられる可能性があります。変動金利は短期金利に連動するため、直接的な影響はありません。
Q 企業の借り入れはどうでしょうか。
A みずほ銀行は、企業向け貸出金利の指標となる「長期プライムレート」(長プラ)を年1.50%とし、8月から3カ月連続で引き上げています。金利上昇でお金が借りづらくなれば、企業が工場建設などの設備投資を控え、景気の悪化や株価の低迷を招く恐れもあります。
Q 物価高を招く円安は収まるでしょうか。
A そうとも言えません。円安の要因は、インフレ対策で急速な利上げを進めてきた米国と、低金利政策を続ける日本との金利差です。米国では根強い物価高を背景に利上げが長引くとの見方があるのに対し、今回の日銀の修正は小幅で、円安を止める効果は小さいとみられています。
Q 家計への恩恵は。
A 生命保険会社は金利が上がることで国債などの運用で得られる利益が増えるため、契約者に約束する利回り「予定利率」を引き上げる動きが出ています。住友生命は個人年金保険の一部で予定利率を引き上げており、新規契約者が支払う保険料を引き下げました。明治安田生命は子どもの教育資金を積み立てる「学資保険」の予定利率を6年ぶりに引き上げます。
Q 長期金利上昇は続くのでしょうか。
A 野村総研の木内
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