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金利が上がるとリストラが増える?
日本銀行が2024年春にも利上げに動くとの見方が広がっています。金利が上がると、預貯金の利息が増えてお得なようにも思えますが、家計へのダメージはどのようなものがあるのでしょうか。「車も家も買えない」とまではいかなくとも、車や家が買いにくくなり、リストラや倒産のリスクが高まる可能性もあります。金利が上がった場合の世の中を一緒に想像してみましょう。
金利が上がると家計へダメージを与え、景気も悪くなる
金利が上がると、確かに預貯金の利息が増える点においては、ダメージではなくプラスといえます。もっとも、車や家の購入、お子様の教育費をローンで賄う場面などでは、このプラスを上回る家計へのダメージが生じる可能性があります。
最近、オートローン(車のローン)や住宅ローン、教育ローンの金利が上がっているということを耳にしたことはないでしょうか。私も実際、テレビで車のコマーシャルを見ていると、以前より金利が1~2%高いオートローンが紹介されているのに驚きました。
現金で一括購入できるのであれば、金利が上がっても関係ないですが、オートローンを組む場合、金利が上がって毎月の返済額が上がるとなると、車の購入をためらったり、予定していた車種よりもランクを下げて購入したりすることになりかねません。
また、オートローンの金利が上がると、月々の返済で家計の支出を増やし、貯蓄や他の消費に回せるお金を減らすことになるため、家計へのダメージがあります。
車よりも高額な商品である家では、百万円単位ではなく千万円単位と借入額が多く、返済期間も30年や35年と長いため、金利が上がれば、車以上に月々の返済額や総返済額にも影響を及ぼします。
住宅ローンの金利が上がると月々の返済額が増え、家計へのダメージを与えることはオートローンと同様ですし、教育ローンであっても同様です。
このように家計や個人消費の中でも、金利が上がると支出をためらい、景気が悪くなる流れを垣間見ることができるでしょう。
家計と同様の現象が企業でも起きる
オートローンの問題は家計についてですが、同様に企業においても、購入や支出をためらわせる作用が起こります。
例えば、製造業の企業が工場の生産効率を向上させるために最新の設備を導入する場合、現金での一括購入ではなく、金融機関から融資を受けることが一般的です。
そこで金利が上がっていると、毎月の返済額が膨らむことから、企業は設備投資自体をためらったり、設備投資の規模を縮小して検討したりすることになりかねません。
金利が上がることによって、お金が回らなくなる状況を生み出し、家計や企業にダメージを与えながら、結果的には、国全体の景気が悪くなってしまう流れに向かうのです。
金利が上がると、リストラや倒産が増える?
先ほどは、企業がこれから設備投資をしようというタイミングで、金利が上がると、設備投資をためらったり、設備投資の規模を縮小して検討したりすることになる流れを確認しました。
もっとも、それだけではリストラや倒産につながらないようにも思えます。それでは、なぜ金利が上がるとリストラや倒産が起こるリスクが高まるのでしょうか。金利が上がるという原因に対して、リストラや倒産という結果になる流れを確認してみましょう。
金利が上がると、円の価値や人気が高まります。なぜならば、持っているだけでも利息が増えるためです。そのため、金利が上がると、円高(1ドル150円だった為替相場が、1ドル140円になるようなこと)になる可能性が高いといえるでしょう。
そして、円高になると、自動車などの輸出業種にとっては不利に働きます。通常、ドル建て(契約金をドルで決めること)となるため、 例えば100ドルの商品は、1ドル150円の場合は1万5000円の売上になりますが、1ドル140円の場合には1万4000円にしかならないのです。
金利が上がると円高となり、日本の産業を支える輸出業種の業績を悪化させる流れは、雇用されている従業員の賃金の上昇が見込めないばかりか、雇用を維持できないといったリストラを誘発し、企業自体も倒産に至るという悪影響を与える可能性もあるのです。
まとめ:金利が上がるとしても緩和路線は続く?
今回は、金利が上がることによって、なぜ家計へのダメージがあるのか、なぜ車も家も買いにくくなるのか、なぜリストラや倒産が起こるのかという問いに対して、その理由を一緒に確認してきました。
金利が上がると、賃金の上昇を見込みにくくなり、逆に、各種ローンの返済額は増えるといった家計へのダメージがあります。また企業は、返済が苦しくなった結果として、リストラをしなければならなくなったり、倒産に追い込まれたりする可能性が生じます。
もっとも、そもそも金利を上げる目的は、需要が供給を上回っているとき、例えば、商品やサービスの供給よりもそれらの商品やサービスを欲しいと思っている人が多い場合に、「高い金利を払ってまでは買えない」と消費者にあきらめさせ、消費を抑制することです。
現在の物価上昇は賃金上昇を伴っているとまではまだ言えないことから、金利引き上げによって消費を抑制する場面とは考えにくく、ただ単にお金がなくて買えない、金利が安くても借りられないという状況のように感じます。
したがって、金利が上がるにしても大幅なものではなく、日銀の金融緩和路線(金利が低い状態を保つこと)はしばらく続く可能性が高いでしょう。ただ今回は、金利を高くして購買意欲を抑える「引き締め」に転じた場合にどうなるのかを確認してみました。
2024年1月から新NISAが始まることもあり、株などの資産運用に興味を持っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。このタイミングで、経済ニュースにもアンテナを立ててみるのもよいのかもしれません。
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